7月26日から開催のパリオリンピック。日本とは7時間の時差があるため、寝不足の方も少なくないだろう。
開催前は盛り上がりに欠けた感のあったパリオリンピックだが、終わってみると日本のメダル獲得総数は45個。金20、銀12、銅13となり、金メダル数20とメダル総数は海外開催大会で最多となった。金メダル数で、アメリカ合衆国と中華人民共和国に次ぎ第3位。日本のこの活躍の原因はと考えると、(1) 身体能力向上の努力。(2) 事前のAI分析に加えて、競技者の勝つための戦略。すなわち頭を使う。メダリストはコメントがしっかりしており、ウイットに富む。(3) メンタルの強さ。メダリストは競技を楽しんでいて、堂々としている。私は若い頃、著名な研究者の前での発表では発表を楽しもうと臨めば上がらないことを知った。最近の若い人はこの能力が高い。(4) 日本帰化外国人の活躍。
柔道日本代表の阿部兄妹の活躍は泣かせるものがあった。柔道では勝ってもガッツポーズをしない点がより美しい。同じ国技 (武道) でも高山良子さん (旧姓) が得意な剣道は、オリンピック競技になっていない。これは、全日本剣道連盟が剣道のオリンピック競技化に反対しているからだと言う。その趣旨は、剣道は剣の理法の修練により人間形成の道であり、オリンピックの種目になることで競技性が高くなると、武道で重要視される相手を尊重し礼節を重んじる文化がなくなり、いよいよ勝利至上主義のスポーツになってしまうためとされている。私の研究室に所属した学生で、剣道で勝ってガッツポーズをして叱られたと言う話を思い出す。剣道はメンタルにも素晴らしい競技であり、それを世界の人に知ってもらうためには、オリンピック競技になってほしいと思う。
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