私の場合、65歳で大学を定年退職し、その後常勤の職も得たが、ここ1年ばかりは自宅で過ごす時間が増えた。どうも家庭内における立ち位置が気になる。さて、これにどう対処するか、調査してみた。
これには、妻が陥る 「主人在宅ストレス症候群」 と言う用語まである。すなわち一般に認識された現象であることが分かった。これに関する記事は多数ある (以下など)。
しかしながら、上記の記事は私見のようで、学術的知見に欠ける。文献を検索してみると、小塩隆士さん (一橋大学・教授) の研究論文 (以下) が見つかった。これは説得力があるように感じる。英文で書かれているが、要点は以下の通り。2005年から2016年にかけて50~59歳の個人を対象に実施された調査からデータが収集された。調査期間中に夫が退職した3,794人の女性回答者に焦点を当て、ランダム効果線形回帰モデルを適用して、夫の退職後5年間のKessler 6 (K6) スコア (うつ病・不安障害などの精神疾患をスクリーニングすることを目的として、Kesslerらが開発した6項目からなる尺度) により、精神状態が評価された。その結果、妻のK6スコアは、夫の退職後3年間に渡り上昇し、5年後にはベースラインレベルにまで低下した。また、妻の積極的な社会参加、夫との関係性などにより、妻の精神的負荷は軽減されていた。すなわち、「主人在宅ストレス症候群」 は5年間で解消すること、妻の積極的な社会参加や夫との関係性が重要なことが覗われる。
Komentarai